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少年少女合唱団のコンサート。アンコールでは会場と一緒に「ふるさと」 を歌って楽しんだ=24日、アルフォーレマルチホール (2024/03/28)


西山コラボ特産品セットの参加メンバー (2024/03/26)


柏崎信金の創立100周年を記念した音楽イベント「目で聴くコンサート」。つのださん(左)のプロデュースで、子どもたちは骨伝導ヘッドホンを付け、ドラム演奏などを楽しんだ=23日、アルフォーレマルチホール (2024/03/25)

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プルサーマル国と反対派が公開討論

 東京電力柏崎刈羽原発のプルサーマル計画をめぐる刈羽村の住民投票を前に、河野博文・資源エネルギー庁長官らと、計画に反対する弁護士らが意見を交わす公開討論会が22日夜、同村老人福祉センターで開かれた。27日の投票を5日後に控え、賛否双方がヤマ場と位置付けた討論会だったが、プルサーマルの必要性などをめぐり国の政策トップを交えた議論はすれ違いとなり、関心の高い安全性についても突っ込んだやり取りにやや欠けた。

 公開討論は計画賛成の「刈羽村を明るくする会」、住民投票の直接請求を行った「私たちの声を村政にとどける会」、計画反対の「原発反対刈羽村を守る会」が共催し、3団体の各1人が共同で司会進行を務めた。村内外から二百数十人が詰め掛け、会場に入れずに帰った一般村民もいた。

 パネリストは国側が河野長官、安全規制担当の佐々木宜彦原子力安全・保安院長、専門家として近藤駿介・東京大学大学院教授。反対側は原発裁判などに長くかかわった海渡雄一弁護士、京都大学原子炉実験所の小林圭二講師、原子力資料情報室の沢井正子核燃料サイクル担当。

 海渡弁護士はプルサーマルによるウランの節約効果はわずかで危険に見合うメリットはないとし、「計画が進まないと使用済み燃料が運び出せず、原発が止まるなどと国は言うが、核のごみを資源と言い続けたために陥った窮地だ。廃棄物問題を先送りしたつけを村に押し付けることは許されない」と批判した。沢井さんは、東京電力が事前了解を申し入れる4年前にMOX燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料)を発注するなど、地元との信頼関係を損ねたと不信感を表した。

 一方、河野長官は「原子力を除けば日本のエネルギー自給率は数%しかない」としてウランの有効利用、資源の乏しい日本が準国産エネルギーをもつ意義を訴え、「長期に見据えたエネルギーの安定供給と環境保全の両立が大事。国のリサイクル政策は安全性に自信を持つからこそできる提案だ」と理解を求めた。

 安全性をめぐっては小林講師が、濃縮ウランを燃やす軽水炉に化学的特性の違うプルトニウムをMOX燃料として入れることで、炉内の出力分布の違いや核反応を抑える制御棒の利きが悪くなるなど安全上の問題を指摘した。これに対し、佐々木院長、近藤教授は「MOX燃料の挙動、特性は解析済みで、安全設計の中で見込んである。緊急停止機能の違いは余裕の範囲内で何ら問題はない」などと反論した。

 討論会を聞いた男性(34)は「国はMOX燃料の放射線量の高さと厳重な管理に言及するなど、安全への配慮と誠意を感じた」と述べた。また、別の男性(76)は「国は安全と言うが、実際に原子力の被ばく事故は起きている。住民が信用できるだけの説明が足りない」とした。

 河野長官は討論会終了後、「こういう場を設けてもらい感謝している。住民の皆さんは私どもの話に熱心に耳を傾けていただいた」と感想を述べ、「住民投票が国策になじむのかという思いはあるが、国としてはプルサーマルへの理解を得ることに精いっぱい努力したい」とした。海渡弁護士は「プルサーマルは安全余裕がなくなるといったことを十分理解してもらえたと思う。真剣にうなずきながら聴いてくれた人が多かった。燃料データを公開もさせない国を信頼できるのか」と話した。

(2001/ 5/23)

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