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満州開拓団慰霊の旅に巻口さん

 1945年の日本敗戦で大勢の犠牲者を出した旧満州開拓団の跡を訪ねる中国東北地区慰霊の旅が今年8月行われることになり、引き揚げ者の一人である市内向陽町の巻口弘さん(67)が参加することになった。柏崎では三江省通河県の柏崎村開拓団を中心に約250人が死亡しており、巻口さんは、当時開拓民を送り出した立場である市にも参加を呼び掛け中だ。

 慰霊の旅は、通河県の開拓団関係者でつくっている流氷会などが計画した。6年前に続いて戦後2度目だが、引き揚げ者が高齢化していることから、今回が最後とされる。「血と涙と汗のにじむ大地にもう一度立ちたい」とし、8月6日から13日までの日程で、大古洞、柏崎村などの開拓地跡や北京を訪ねる。現地で慰霊祭を行うほか、10日には通河県の多くの開拓団民が敗戦翌年の春を待って歩いたハルビンまでの道をバスでたどる。

 巻口さんは42年、小学校2年生の時に柏崎村開拓団員として一家で満州に渡った。終戦時、父栄一さんが応召していて、母シズさんと弟妹5人とともに現地に残された。旧ソ連軍侵攻や中国人の襲撃の中、逃避行と中国での生活を経て、53年に1人で帰国した。父はすでにシベリアから帰っていた。この間、弟3人が栄養失調で亡くなったが、母は75年に帰国、他の弟妹も今は日本に戻って暮らしている。会社を退職してから中国に2回旅行した巻口さんも、旧開拓地を訪ねるのは帰国後初めてだ。

 柏崎では、北安省の二龍山(あるろんしゃん)開拓団の国民学校長だった故深田信四郎さんの著した「二龍山」「幻の満洲柏崎村」が開拓団の悲劇を伝え、86年、赤坂山公園に「満洲柏崎村の塔」が建てられた。この塔の世話人会代表である巻口さんは「今回の旅で、故国に帰れず亡くなった人たちに哀悼の意をささげてきたい。つらい時代を体験して、生かされ残された喜びをかみしめ、自分自身と歴史を振り返ることができれば」という。また「深田さんが言い続けた『いくさあらすな』の意思を後世に伝えていくことは、われわれの務め」と話す。

 旅の参加予定者はまだ10人ほどだが、巻口さんは市に参加を呼び掛ける一方、市内で健在の旧開拓団関係者数人に案内を出した。また一般市民の中で希望者がいれば受け入れたいとしている。問い合わせは巻口さん(電話23―1616)へ。

(2002/ 5/10)

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