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小国町で歴史ロマンをマンガに

 中世歴史ロマンを起点にして新しい地域づくりを進めようとしている小国町で、この取り組みのきっかけとなった柿花仄(ほのか)氏の著作「皇子・逃亡伝説」を分かりやすいマンガ本にした「歴史ロマンの隠れ里 越後小国 以仁王(もちひとおう)伝説」の製作が行われている。発行は今年10月の予定。発行元の「小国町歴史ロマンを語る会」(北原勲会長)では予約申し込みの受け付けを開始した。

 「皇子・逃亡伝説」は、源平の時代に、皇子・以仁王が小国の地に隠れ住んでいたという推論。1988年、柿花氏が町内に残る2つの古文書の調査に訪れ、東北各地の伝承を加えて93年に著作を発行した。町内では柿花氏の来町以来、皇子と、皇子をかくまったとされる武士団・小国氏に関心が高まり、町の生涯学習にも取り上げられるなど話題になってきた。

 町ではかねてから、地域資源を再認識・再活用した中で都市との交流を目指していくグリーンツーリズム構想を模索しており、その中で「皇子・逃亡伝説」が1つのきっかけとしてクローズアップされてきた。しかし、柿花氏の著作は歴史的な知識がないと理解が難しいため、誰もが親しめるように企画したのがマンガ本の製作だ。小国氏についても不明な点が多いが、「分からないからこそ、想像力を働かせ、自由に歴史ロマンを膨らませてみた」と事務局を担当する町企画商工課は話す。

 シナリオは同町楢沢の元高校教師で小国文化フォーラム、瞽女(ごぜ)唄ネットワークの事務局を務める高橋実さん。作画は新潟市在住、県立文書館嘱託員で女流マンガ家・高橋郁丸(ふみまる)さんが担当した。A5判100ページ。価格は750円。限定3,000部の発行で、予約申し込みは7月29日まで。遠方の人には郵送も受け付ける。詳しくは町企画商工課(電話0258―95―5906)へ。

 町ではこの歴史ロマンを野外劇にするため、役者や裏方の希望者の受け付けも始めている。11月1日には柿花氏や、同じく以仁王伝説の残る福島県下郷町(大内宿)、東蒲・上川村の関係者を迎えてシンポジウムを開催。翌2日には森林公園駐車場に特設舞台を設け、野外劇を行う計画だ。この準備として昨年秋には町内各地でのろしを上げる実験も行った。また、このイベントをグリーンツーリズムを進めていく起点の1つにしたいとの考えから、おもてなし料理、物産販売などを担当する部会も発足させて、準備に入っている。

 【皇子・逃亡伝説】以仁王は御白河天皇の第三皇子。平家一門が政治の実権を握る中、1180年に源頼政らとともに平家討伐を企てたが発覚。京都・宇治の戦いに敗れ、頼政は宇治平等院で自刃、以仁王も奈良・光明山で戦死したと「平家物語」は伝える。柿花氏は「奈良で戦死した以仁王は替え玉で、頼政の弟・小国頼行の子孫が住む越後小国郷を目指して逃げていった」と考察し、「やがて小国の地に土着していった」と推論する。小国町内には小国氏のものとされる山城の史跡が多いが、小国氏については不明な点が多い。「小国氏は南北朝の戦いの際、南朝側にくみしたとされ、やがて小国から移らざるを得なかったらしい」と町の歴史研究者は推察している。

(2002/ 7/ 1)

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