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柏崎市出身で東京大学大学院理学系研究科の小林孝嘉教授(57)の研究チームが、世界で最も短い時間だけ光るレーザーで、視覚にかかわるたんぱく質に似た分子の構造変化を刻々ととらえることに成功し、このほど英科学誌「ネイチャー」に発表した。視覚のメカニズム解明や超高感度の光センサーの開発につながることなどが期待されている。
小林さんは市内東本町2の出身で、柏高1回卒。東大理学部卒業後、理化学研究所や米ベル研究所などを経て、母校の教授になった。理学博士。4.7フェムト秒(1フェムトは千兆分の1)という超極短のレーザー光パルスを当てる観測技術を開発した。塩分を好む細菌がもつバクテリオロドプシンというたんぱく質に光を当て、その中の化学物質がねじれるように形を変える分子レベルの変化をリアルタイムでとらえた。
バクテリオロドプシンは、動物の目の細胞にあって視覚をつかさどるロドプシンというたんぱく質と似た構造だ。光を受けたときに同じような反応が起きると考えられ、視覚の解明にもつながる。小林さんの観測技術は、フェムト秒化学で99年ノーベル化学賞を受けた米カリフォルニア工科大のゼウェイル博士が果たせなかった観察、実証を実現した。今後、化学反応の制御や幅広い分野への応用に役立つことになる。
小林さんは1993年、光通信などで注目される非線形光学材料の特性を評価する測定技術を開発し、有機高分子が光を吸収して瞬間的に起こす変化を10兆分の1秒単位でとらえることに成功した。95年、日本化学会学術賞受賞。一貫して超短時間の分光法の研究に取り組んでいる。一昨年、米国光学会のフェローにも選ばれた。
今回の成果で昨年暮れから全国紙で相次ぎ大きく取り上げられた。市内の実兄・小林克彰さん(60)は「頼るべき人脈もない世界で第一線に立つには並外れた努力があったと思う」と話している。
(2002/ 1/12)
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